上山 よろしくお願いします。
髙橋 お願いします。
上山 まずは自己紹介から。私は、人生葬送派のリーダーの上山花です。作曲と作詞とセカンドキーボードを担当してます。
髙橋 僕は高橋のりつぐです。メインキーボードと、レコーディング、MIX、上山と分担して作曲をしています。
上山 私たち”人生葬送派”は、1st album『人生葬送派』を2022年の大晦日に無事発表できました!
髙橋 👏
上山 バンドをやろうと私が高橋を呼びかけたのが、2022年6月頃なので、発表まで約半年かかりましたね。長かった~~。
髙橋 協力してくれた、レベルの高い演奏メンバーのおかげで、アルバムとしての体を成せたよね。
上山 ほんとにそうだよね。田渕さん、chayumuさん、藤田さん、周さん、本当にありがとう…。
髙橋 いやぁ、ほんとにメンバー様様だ...。
上山 ファーストアルバム『人生葬送派』は、私上山と高橋の2人で分担しながら作曲をしました。ということで、今日は、バンドの作曲を担当した二人で、アルバムについて、作曲の背景なんかを話していければと思います。
髙橋 個々の作曲について細かいことを話す前に、まず、”人生葬送派”という、パンチのあるバンド名について説明しといた方がいいんじゃない??
上山 確かに、結構ギョッとするようなバンド名ではあるよねww
髙橋 バンド名に関しては完全にリーダーの上山が決めちゃったわけでして、僕も上山に誘われてバンドを始めて、マジメに作曲や編集をしていたら、いつの間にかヤバい組織の一員みたいなポジションになってしまって困惑してるんですが(笑)。何なの、”人生葬送派”っていうのは⁇
上山 いやぁ、私がみんなの人生を、地獄の底へと葬りたくてたまらなくなってしまって、。その手段としてバンドを結成したんだけど、、
髙橋 怖...。
上山 このバンドを結成して作曲や録音をしていた2022年の下半期は、私が精神的に滅茶苦茶荒んでいて、この世界のすべてを灰に返したくて仕方がなかった時期でした。そんな私の精神模様が反映されたバンド名とアルバム名が『人生葬送派』ですね。だけど、ここ最近は、色々あって精神状態が再生してきていて、生きとし生けるものへの慈愛に満ち溢れてきたので、今作っている最中のセカンドアルバムのタイトルは『人生再生派』になる予定です!
髙橋 不安定な上山の情緒がそのまま、毎回アルバム名に投影されていく仕組みなんです、、
上山 あと実は、”人生葬送派”には元ネタがあるよ。1980年代に、日本で活動していた政治系の思想家一派に「マルクス葬送派」と呼ばれた集団があって、それのパロディとして、”人生葬送派”というのを思いつき、上山が興奮して採用してしまいました。
まあバンド名について簡単に説明したところで、このアルバムのコンセプトについて話していきましょう。
髙橋 コンセプトといってもなぁ...。なかなか統一的には話せないくらい、かなり雑多な感じになりましたね。
上山 「こういう作品を作ろう!」と、あらかじめ具体的に方針を決めて作った作品って、結局あんまり面白くならないんだよね。だから、とにかく衝動的に書きたくなったものを詰め込んでいくっていう手法の方が良いと思ってる。このアルバムでもそういうところは意識していて、体当たりで未完成で稚拙なところが本作の魅力だと思うな。
髙橋 そうだね。
上山 アルバムの曲作りについて話していくと、今回のアルバムは、作詞は全部私上山が担当したんですけど、作曲は高橋と分担して作りました。私が「人生葬送派」、「シェヘラザード」、「一度目の死」の三曲を作曲して、高橋が「Raindance」、「エネルギーの余剰 ~シャフの若者のための~」の二曲を作曲。「Noises Coming」だけは、共同制作って感じで作りました。
髙橋 そうですね。
上山
練習で使用したスコアは楽譜スコアページから♪(3本線からも飛べます)
髙橋 「人生葬送派」を作ったのは上山だけど、この曲には、何か元ネタとかあるの??
上山 いや、特にないですね。「人生葬送派」は私のノリでしかないです。
曲想の元ネタとかは特にないんだけど、あふれ出る憎悪に突き動かされて書いてしまった曲かなあ。
髙橋 まあ、そんな感じだよな、、
上山 それと、バンド名が”人生葬送派”という超攻撃的な響きがしていると、バンドのサウンドにも、かなり攻撃的なサウンドを期待する人も多いと思う。だけど、私としては、バンド名からは殺気をほとばしらせておきつつも、一つ一つの楽曲には、逆に明るくて、逆にポップで、逆に元気な雰囲気を、あえて、逆に、こめていきたいんだよね。
髙橋 どんだけ逆つくんだよ...。
上山 この曲「人生葬送派」は、ファーストアルバムの一曲目ということで、バンド自体の一曲目というメモリアルな立ち位置でもあるわけです。そんなポジションに、マイナーではないことが明白な曲を持ってくることで、攻撃的で殺伐とした雰囲気と、ポップで明るい雰囲気の共存という、バンドの方向性自体を明示したかったというのもあるかな。
髙橋 なるほどね。
上山 一曲目の「人生葬送派」についてはこんなところかな。
髙橋 二曲目は「シェヘラザード」ですね。これも上山の作曲です。
髙橋 この曲については、けっこう完成度の高い作曲ができたよね。
上山 そうそう、この曲は、曲調とタブチさんのボーカルが合間ってとても良かった。「シェヘラザード」は、実は、私の失恋が元ネタなわけですが、実体験をネタとして消化できて嬉しい気持ちでいっぱいです。
髙橋 ww
上山 この曲も、一曲目の「人生葬送派」同様、殺伐として辛い感じを漂わせつつも、逆に明るくライトに仕上がっているのがポイントですね。
髙橋 青春ぽい、稚拙な感じがいいよね。
上山 あとは髙橋のボイシングがまぁいいですよね。
髙橋 確かに、ボイシングは工夫したかも。この曲、弾いててとにかく気持ちが良かったなー。録音前の練習の時から僕の中では世界観が既に出来上がっていて、その世界観を崩さないように寄り添って演奏したつもりです。個人的な話をすると、「前衛だ!破壊だ!」と、日頃から、変なことに被れたり変な風に荒んだりしている上山が、失恋を機に急に素直に自分の心の中を描いたというのが、この曲の可愛さであり好きなポイントだったりします。
上山 お恥ずかしい...。上山は意外とかわいらしいタイプの人間だからな…。
髙橋 三曲目は「Raindance」です。
上山 「Raindance」の作曲は高橋が担当したわけだけど、この曲には何か隠された元ネタがあったりするんですか??
髙橋 はい。この「Raindance」、実は、Jeff Lorberの「Rain Dance」が元ネタなんですよ、、って、名前そのまんまじゃねぇかというww
上山 隠されてもなんともないんだよなww
https://youtu.be/EPoCWrFLTLg
髙橋 Jeff Lorberの「Rain Dance」は、インスト界隈では有名な曲だよね。
上山 そうだよね。
髙橋 僕が深夜テンションで、「Rain Dance」のgrooveに感化され、多分二時間ぐらいで書き上げたものなんですよね。上山がそれをなぜか気に入ったのでアルバムにも入れることにした。ただ、あまりにもジャズに寄って作曲してしまったせいでい、僕にはこんなの弾けないよぉと実は涙目だった笑笑
上山 Jeff Lorberの「Rain Dance」は、なんていうか気怠い雰囲気がいいよね。非常にイケてる。で、肝心の人生葬送派版「RainDance」は、思ったよりいい意味で泥臭くなりましたw。ジャズ畑じゃないから、どうしてもちょっとこう、grooveが泥臭くなる。そのギャップに私達の美学があるからw。
髙橋 そうそうw。下手くそなくせに僕のkeyソロがクソ長くてね、、、。まぁ逆にジャズマンじゃないやつがやるジャズフュージョンの面白みはあるかとはw
上山 四曲目「I度目の死」は、私が作りました。
上山 「シェヘラザード」に続き、これも私の失恋ソングです。
髙橋 失恋ばっかしててウケるw
上山 明確に割と意識した元ネタは、ゲスの極み乙女と、ハービーハンコックかな。あと、ドラマーの藤田は、メタルに日本一詳しい男なんですが、彼の紹介で知った、アーキテクツっていうイングランドのメタルコアバンドも参考にしました。とにかくリフがカッコいい。後は、メシュガーっていうスウェーデンのメタルバンドのサウンドからも、影響を受けたかな。
髙橋 ゲスは、上山が意識している楽曲としては圧倒的にポップだよね
上山 そうそう、ゲスはプログレ感あって、かつ割と今っぽい雰囲気も感じて参考になるから、割と聞いてたりする。曲後半のファンクぽいのはハービーハンコック的なファンクなノリを意識した。
髙橋 ハービーハンコックな部分っていうのは、2:20-からのクラビやオルガンが入ってくるファンクセクションのことだよね。まあ聞く人によってはスティービーワンダーかもな。この曲、サビに当たるところがいきなりインストになる謎仕様で、上山本人が最初に作った時はこのインストパートを最後に持ってきていたんだよね。だけど、上山の曲ならこれをサビにして盛り上げていいだろって僕が言って、この形になったんだよねぇ。なんだかんだジャンキーだけど面白い曲になったと思う。
上山 そうだね。
髙橋 五曲目「エネルギーの余剰〜シャフ若者のための〜」は、僕が作曲しました。
上山 これは元ネタあるんだっけ?
髙橋 明確な元ネタはないけど、フワッと影響を受けたのは、きのこ帝国の「国道スロープ」ですね。聞いた時、「この世界観かっこいい!」って思ったんですよね。
https://youtu.be/dyekOi-rdMA
髙橋 『Eureka』っていうアルバムの中の一曲です。このアルバム、他の楽曲も好きで…。前衛的な部分もあるけど、若い人の持つエネルギーの悩みとか鬱憤みたいなものを全てオラオラオラー!て感じで音にしたような世界観で、いい意味で若さっていうか、青臭さと勢いがあるよね。全てをぶち壊して、勢いだけで前に進みたいっていうテンションで始まった私たちのバンドと重なる部分があったのかもしれないですね。
上山 そうだね、これはいわゆる”バンドサウンド!”って感じが一番する曲だよね。攻めてるけど、同時に素直にまっすぐストレートな感じもある。音の厚みもあるし、髙橋が割とちゃんときっちりとした楽譜を制作してるから、実は、出来上がりも丁寧な感じなんだよね。
髙橋 最後、六曲目「Noises Coming」ですね。
髙橋 この曲は上山と僕で、分担しながら作曲しました。
上山 私的に元ネタにしたのは、King Crimsonと、伊福部昭、阿部薫、キースエマーソンとか、その辺かな。彼らに共通してるのは良い意味で、”洗練されてなさ”だと個人的に思っていて...。
髙橋 エマーソンは、思い立ったかのように急に部分的にクラシカルになったりもして、恐ろしくダサいよな、もちろん良い意味で。
上山 そうなんだよね、エマーソンの良さはむしろそこだと思う、特に若い頃の顔がイケメンで、外見に騙されそうになるんだけど、よく聞いてみると、実は音楽がスゴイダサいww
髙橋 ww
上山 そして、むしろそれがいいんだよね。何のジャンルともつかない感じね。
髙橋 うん。僕もこの曲すごい気に入ってて笑。本気でちゃんと頭おかしくなれたなって、思うんだよな✨。僕もエマーソン、クリムゾンは大好きで、その辺ももちろん視野に入れたし、後、tigran hamasyanとかコンテンポラリージャズの人も参考にしたかも。とにかく最高です。やりたいこと好き勝手やらせてくれてありがとうって感じw
上山 「Noises Coming」はまさに、空回りしてて下手くそでジャンクで稚拙でなんの語法ともつかない感じだよね。そして、これは髙橋の案で、楽曲の終盤に、Electric大正琴を導入したのもポイント。
髙橋 Electric大正琴っていうのは、まぁアンプリファイした大正琴のことだね。この楽器、通常は付属のピックで演奏するものなんだけど、この楽曲ではチェロの弓で演奏したw。何とも言えないチープさがいい。
⇩こんなかんじ。
髙橋 稚拙でいいから、自分の語法で語ることが”人生葬送派”の美学なので、まさにその美学が体現されているね。
上山 そうそう、「Noises Coming」は、ボーカルがないこともあって、人気は一番出なさそうだけど、この曲が”人生葬送派”の金字塔的な立ち位置になるといいかな。
髙橋 そうだね。
上山 これで、ファーストアルバム『人生葬送派』六曲全て語ったことになるかな。
髙橋 うん。最後に、リーダーから何かありますか??
上山 とにかく良いアルバムなんで、聞いてくださいってことだよねww
髙橋 間違いないww
上山 それと、セカンドアルバム『人生再生派』も鋭意作成中なので、楽しみにして下さいってことかな。ファーストアルバム『人生葬送派』では、全てを地獄の底へと葬り去ったけど、セカンドアルバム『人生再生派』では、地獄の底から、もう一度、葬送したものすべてを再生させてみせるからね!
髙橋 テキトーなことばっか言うなよ😱
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